パソコンの勘定科目と仕訳の具体例一覧!経費にしたいフリーランス・個人事業主必見

事業を始めるためにパソコンを購入してみたものの「パソコンは経費にしても良いのかな?」と疑問に思う方も多いでしょう。

とくにフリーランスの方や個人事業主の方は、プライベートとしてもパソコンを利用するため「経費として認められないのでは…」と不安になりますよね。

そんな方に向けてこの記事では、パソコンを経費計上する方法や具体的な仕訳例をまとめました。

【この記事でわかること】

  • パソコンを経費計上する方法や仕訳のやり方
  • プライベートとしても利用する場合の計上方法
  • 中古やリースでパソコンを利用している場合の計上方法

この記事を読んでパソコンを経費として計上し、税金を抑えて出費を減らしましょう。

目次

個人事業主やフリーランスもパソコンを経費計上できる

個人事業主やフリーランスの方も、事業でパソコンを使う場合は経費として計上ができます

経費というのは事業を行ううえで、必要となる費用のことだからです。

例えばプログラマーの方にとってパソコンは、事業を行ううえで欠かせないツールのひとつです。

そのためプログラマーを目指すにあたって、必要なスペックを満たしたパソコンを購入した際の費用は経費として認められます。

モニターやキーボードなどパソコンと周辺機器を購入した場合

パソコンを経費計上する場合、モニターやキーボードをバラバラで購入しても1つの経費として考えます。

例えばデスクトップパソコンを購入する場合、モニターだけではパソコンとしての機能が利用できないためパソコン本体やキーボード、マウスも必要でしょう。

デスクトップパソコンを用意するために、バラバラで購入した費用をまとめて「取得価額」として計算します。

【取得価額の例】

パソコン本体50,000円
モニター20,000円
キーボード5,000円
マウス1,000円
取得価額76,000円

注意点として取得価額として合算するのは「その機器がなければ本来の機能がしないもの」に限ります。

例えばノートパソコンとマウスを同時に購入した場合、そもそもノートパソコンにマウスの機能が備わっているため、ノートパソコンとマウスの経費は別々で計上しなければなりません。

10万円未満のパソコンは消耗品として経費計上する

パソコンの取得価額が10万円未満の場合、勘定科目を「消耗品」として全額を一括で経費計上しましょう。

例えば8万円のノートパソコンを現金で購入した場合、次のように仕訳を行います。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
消耗品80,000現金80,000

10万円以上のパソコンを経費計上する方法は3つ

パソコンの取得価額が10万円以上の場合、経費計上する方法は3つあります。

【パソコンを経費計上する方法】

  • 通常の減価償却
  • 一括償却資産
  • 少額減価償却資産の特例(2024年3月31日までの購入分に限る)

通常の減価償却

パソコンの取得価額が10万円を超えた場合「減価償却」として経費計上を行う方法があります。

【減価償却とは】

減価償却とは長年活用する設備などを一括で経費計上するのではなく、活用する期間で配分して経費計上を行うことです。

減価償却として計算する期間は「法定耐用年数」として定められており、パソコンは4年(48ヶ月)で減価償却を行います。

例えば15万円のパソコンを購入した場合「150,000円 ÷ 48ヶ月=1ヶ月あたり3,125円の減価償却」という計算です。

6月に購入したのであれば12月までの6ヶ月分(3,125円×6=18,750円)を1年目に減価償却として計上します。

一括償却資産

10万円以上20万円未満のパソコンに限り「一括償却資産」で計上が行えます

【一括償却資産で計上するメリット】

  • 経費の計算が減価償却より簡単
  • 減価償却より期間が短いため節税効果が高くなる

一括償却資産として処理を行う場合は3年(3分の1)で計算します。

例えば15万円のパソコンを一括償却資産で処理する場合「15万円 ÷ 3年=5万円」という計算です。

減価償却よりも仕訳が簡単かつ節税効果が高いので、10万円以上20万円未満のパソコンを購入した場合、一括償却資産として計上すると良いでしょう。

少額減価償却資産の特例(2024年3月31日までの購入分に限る)

確定申告を青色申告で行う事業主のみ「少額減価償却資産の特例」の制度が利用できます。

少額減価償却資産の特例を利用すれば、10万円以上30万円未満のパソコンをすべて一括で計上可能です。

ただし少額減価償却資産の特例の適用期限は、2024年3月31日までとなっています。

2024年3月31日以降に10万円以上30万円未満のパソコンを購入した場合は、「減価償却」または「一括償却資産」でしか計上できないので注意しましょう。

プライベートと事業を兼用するパソコンは家事按分が必要

フリーランスの方や個人事業主の方は、プライベートとしてパソコンを利用することもあるでしょう。

購入したパソコンがプライベートと事業を兼用している場合、パソコンの費用すべてを経費として計上するのではなく家事按分として計上しなければなりません。

【家事按分とは】

家事按分とは事業とプライベート両方で活用するモノを、事業用として活用している割合だけ経費計上することです。

パソコンの家事按分を行う場合、プライベートと事業で活用している時間で割合を計算するか、日数で計算すると良いでしょう。

例えば1日のパソコン活用時間が10時間あったうち、8時間を事業用として活用している場合、パソコン代金の8割を家事按分で計上します。

8万円のパソコンを現金で購入した場合、家事按分の仕訳は次のようになります。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
消耗品64,000現金80,000
事業主貸16,000

家事按分で仕訳を行う場合、プライベートで使っている分の費用を事業主貸として計上しましょう。

パソコンの経費を帳簿付けする方法と仕訳例

パソコンの経費は、取得価額によって計上する方法が変わってきます。

取得価額経費を計上する方法
10万円未満全額一括で経費計上
10万以上20万円未満通常の減価償却一括償却資産少額減価償却資産の特例(2024年3月31日購入分まで利用可能)
20万円以上30万円未満通常の減価償却少額減価償却資産の特例(2024年3月31日購入分まで利用可能)
30万円以上通常の減価償却

取得価額ごとに、最適な経費計上の方法と仕訳例を紹介します。

なお「少額減価償却資産の特例」は青色申告を行う方限定で、なおかつ2024年3月31日までに購入した分のパソコンのみ、利用できる制度なので注意しましょう。

10万円未満のパソコン

取得価額が10万円未満のパソコンは一括で経費として計上できるので、仕訳も簡単です。

勘定科目は「消耗品」と記載しておけば問題ありません。

例えば5万円のノートパソコンを現金で購入した場合、次のように仕訳を行います。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
消耗品50,000現金50,000

10万円以上20万円未満のパソコン

10万円以上20万円未満のパソコンの場合、3つの計上方法があります。

  • 通常の減価償却
  • 一括償却資産
  • 少額減価償却資産の特例(2024年3月31日購入分まで)

基本的に「通常の減価償却」以外の計上方法の方がメリットになるので、15万円のノートパソコンを現金で購入した場合の「一括償却資産」と「少額減価償却資産の特例」での仕訳方法を紹介します。

【一括償却資産で処理する場合】

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
一括償却資産150,000現金150,000

一括償却資産の場合3年で減価償却を行うので、決算時に次のような仕訳を行いましょう。

【決算時に記帳する仕訳】

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
減価償却費50,000一括償却資産50,000

【少額減価償却資産の特例を利用する場合】

少額減価償却資産の特例は一括で経費計上できる制度なので、勘定科目を「工具器具備品」にして次のような仕訳を行います。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
工具器具備品150,000現金150,000
減価償却費150,000工具器具備品150,000

20万円以上30万円未満のパソコン

20万円以上30万円未満のパソコンを経費計上する方法は、次の2つです。

  • 通常の減価償却
  • 少額減価償却資産の特例(2024年3月31日購入分まで)

通常の減価償却で計上する場合は、パソコンの耐用年数4年(48ヶ月)で減価償却を行います。

例えば20万円のノートパソコンを6月に現金で購入した場合、1ヶ月あたり4,166円(20万円 ÷ 48ヶ月=4,166円)で減価償却する計算となり、毎年計上する金額は次のようになります。

減価償却を計上する金額
購入年度(6ヶ月分)25,000円
2年目(12ヶ月分)50,000円
3年目(12ヶ月分)50,000円
4年目(12ヶ月分)50,000円
5年目(6ヶ月)25,000円

【購入年度の仕訳】

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
工具器具備品200,000現金200,000

【購入年度の決算時の仕訳】

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
減価償却費25,000工具器具備品25,000

【少額減価償却資産の特例を利用する場合】

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
工具器具備品200,000現金200,000
減価償却費200,000工具器具備品200,000

30万円以上のパソコン

30万円以上のパソコンの場合は、通常の減価償却で計上します。

30万円のパソコンをクレジットカードで購入した場合、購入時の仕訳として次のように記載します。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
工具器具備品300,000未払金300,000

30万円の減価償却費は1ヶ月あたり6,250円(30万円 ÷ 48ヶ月=6,250円)です。

3月に購入した場合の減価償却で計上する金額は、下記のようになります。

減価償却を計上する金額
購入年度(9ヶ月分)56,250円
2年目(12ヶ月分)75,000円
3年目(12ヶ月分)75,000円
4年目(12ヶ月分)75,000円
5年目(3ヶ月)18,750円

購入年度の決算時の仕訳は次のように記載します。

借方貸方
勘定科目金額勘定科目金額
減価償却費56,250工具器具備品56,250

パソコンを経費にして確定申告を行う場合の注意点

パソコンを経費計上した場合、翌年以降の減価償却費の計上を忘れないように注意しましょう。

減価償却で計上をしているのであれば最大5年間、一括償却資産で計上している場合は3年間は減価償却費として計上する必要があります。

10万円未満のパソコンを購入した場合は、消耗品として一括で経費計上しているので大丈夫です。

確定申告の方法がわからなくて不安な方は、確定申告の手順をまとめた記事があるので参考にしてください。

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パソコンの経費関連に関する「よくある質問」

パソコンの経費に関して、よくある質問を3つ紹介します。

  • 個人事業主はパソコンをいくらまで経費にできる?
  • リースや分割払いで利用しているパソコンも経費計上は可能?
  • 中古のパソコンを購入した場合の仕訳方法は?

個人事業主はパソコンをいくらまで経費にできる?

パソコンを経費にするにあたって上限はありません。

パソコンの取得価額によって経費計上する方法が異なるので、注意しましょう。

リースや分割払いで利用しているパソコンも経費計上は可能?

パソコンをリースや分割払いで利用している場合も、経費計上は可能です。

リースの勘定科目は「リース料」として経費計上を行います。

また分割払いでパソコンを購入した場合も支払い方法の記載が変わるだけで、通常の仕訳と同じ要領で経費計上が可能です。

中古のパソコンを購入した場合の仕訳方法は?

10万円未満の中古パソコンの場合、通常のパソコン同様に「消耗品」として一括計上が可能です。

10万円以上の中古パソコンの場合「耐用年数」に従って減価償却をしなければなりません。

中古のパソコン購入費用が新品価格の50%を超える場合、通常のパソコンと同様に法定耐用年数(4年)で減価償却を行います。

新品価格の50%を満たない場合、中古パソコンの経過年月によって耐用年数が異なります。

中古パソコンを減価償却する際の早見表

中古パソコンの経過年月減価償却で処理する耐用年数
1年3年
2年2年
3年2年
4年以上2年
耐用年数計算ツールにて計算

また中古パソコンの経過年月というのは、使用された期間のことではなく発売された年代です。

例えば2020年モデルの中古パソコンを購入した場合、2024年現在において経過年月は4年ということになります。

パソコンは経費として計上して無駄なく節税を行いましょう

事業用として購入したパソコンは金額に関係なく、経費として計上が可能です。

プライベートと両立して利用する場合は、事業として利用している分だけ経費として認められます。

またパソコンを経費で計上する際は、取得価額によって適切な仕訳を行いましょう。

取得価額経費を計上する方法
10万円未満全額一括で経費計上
10万以上20万円未満通常の減価償却一括償却資産少額減価償却資産の特例(2024年3月31日購入分まで利用可能)
20万円以上30万円未満通常の減価償却少額減価償却資産の特例(2024年3月31日購入分まで利用可能)
30万円以上通常の減価償却

支払う必要のない税金を増やさないためにも、パソコンは経費として計上して無駄なく節税を行いましょう。

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