「フリーランスデザイナーとして働きたいけど需要はあるのか」「副業として始めた方が良いのか」
フリーランスデザイナーとして一歩踏み出すことは簡単なことではありません。
- 生活できるだけの案件はあるのか
- 単価はどのくらいなのか
- 続けられる仕事なのか
不安材料が多いとなかなか現状を変えることができませんが、いまフリーランスデザイナーの需要は増加傾向にあります。この記事では、フリーランスデザイナーの現状から安定した収入を得るための案件獲得方法について解説します。
デザイナーの取り巻く環境は大きく変化していること、そして将来性について理解することから始めましょう。
この記事でわかること
- フリーランスデザイナーの現状(増加傾向、年齢層)
- フリーランスデザイナーに向いている人
- フリーランスデザイナーの仕事内容
- フリーランスデザイナーになるメリット・デメリット
- フリーランスデザイナーの案件獲得方法
- フリーランスデザイナーの具体的ステップ
- フリーランスデザイナーになった後のスキルアップ
フリーランスデザイナーの現状(増加傾向、年齢層)
フリーランスデザイナーには将来性があり、需要は増加傾向にあります。主な理由は下記の2つです。
- IT業界全体の人材不足
- 広告市場の普及
フリーランスデザイナーの需要がなぜ増加傾向にあるのか、現状を見ていきましょう。
IT業界全体が人材不足
フリーランスデザイナーの需要が増加している理由は、IT業界全体の人材不足です。
経済産業省によると、IT業界全体の人材不足は2018年を基準に、2030年までには最大 78.7 万人の不足を予測しています。在宅ワークを始める人が増える一方で、IT業界は足りていないという状況に陥ることから、フリーランスデザイナーとして一歩踏み出すことは、より多くのチャンスに恵まれると考えられるのです。
広告市場の普及
日本の総広告費は再び成長軌道にのっていることも、フリーランスデザイナーの需要が増加する理由になります。
2022年の総広告費は、7兆1021億円と過去最高の数字が出ています。2008年のリーマンショックは広告費の落ち込みに拍車をかけました。フリーランスデザイナーの需要も減少するのは当然です。
しかし、2020年のコロナショックによる広告費の落ち込みから、再び広告費は伸び始め過去最高の7兆1021億円まで伸びています。この数字はたまたまなのか、世界に目を向けてみましょう。2023年、デジタル広告費は7.2%と伸びており広告費の57.1%を占めているのが現状です。
参照|「2022年 日本の広告費」の概要—広告市場は再び成長軌道に。
フリーランスデザイナーの取り巻く環境は大きく変化しており、デジタル広告にはWEBデザインが欠かせません。フリーランスデザイナーの現状、なぜ需要が増加しているのか理解するとフリーランスデザイナーには将来性があることが分かります。
フリーランスデザイナーの年齢層
フリーランスデザイナーは今後、25〜34歳の年齢層が増加すると考えられます。
今後、活躍する年齢層を知ることは重要ですが、年齢に囚われずにどのような人がフリーランスデザイナーに向いているのか考えましょう。
フリーランスデザイナーに向いている人
フリーランスデザイナーに向いている人は、下記の特徴をもつ人です。
- デザイン以外のスキルを持っている人
- UI/UXの知識がある人
- コミュニケーション能力がある人
- 安定性よりも変化を求める人
フリーランスデザイナーとして安定した収入を得るためには何が必要なのか解説します。
デザイン以外のスキルを持っている人
デザイン以外のスキルを持っている人は、フリーランスデザイナーとして企業が求める人材です。
- コーディング
- JavaScript
- ロゴデザイン
- 名刺のデザイン
上記に限りませんが、デザイン以外の幅広いスキルは重宝されます。
UI/UXの知識がある人
デザイナーには、UI/UXに関する理解が必要です。
- UI|ユーザー(利用者)と、製品・サービスをつなぐ接点
- UX|ユーザーが商品やサービスを通じて得られる体験
企業はおしゃれさだけでなく、使いやすく分かりやすいデザインを求めます。そこで、サイトのトップページから購入ボタンまでの操作性も重視され、フリーランスデザイナーとしてUI/UXの知識は必要不可欠です。
コミュニケーション能力がある人
高いコミュニケーション能力がある人は、フリーランスデザイナーに向いています。
クライアントが求めるコミュニケーションとは?
- 戦略・意図を読み込むコミュニケーション
- デザインイメージを言語化するコミュニケーション
- 連携するコミュニケーション
フリーランスデザイナーは、クライアントからの案件がなくては仕事は成り立ちません。毎日顔を合わせるわけではないので、限られた時間でしっかり双方の認識を合わせないといけません。そのためには高いコミュニケーション能力が必要になります。
安定性よりも変化を求める人
日々の変化に対応できる人が、フリーランスデザイナーに向いている人です。
一つのデザインを仕上げるためにさまざまなツールを使用します。技術は常に進歩し、新たなツールが開発されています。AIはその一つです。またデザインにもトレンドがあり、作品を仕上げるためには常にアンテナを張っておく必要があります。さらに、フリーランスデザイナーとして、新しいことを積極的に取り入れられる柔軟性も求められます。
フリーランスデザイナーの仕事内容|年収相場
フリーランスデザイナーの年収は、経験や知識で異なります。
フリーランスデザイナーの仕事内容と、年収の相場を見ていきましょう。
フリーランスデザイナーの仕事内容
UI/UXデザイナー | WEBサイトやアプリの操作画面が快適に使えるインターフェースや体験を提供するためのデザイン |
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WEBデザイナー | クライアントが求めるWEBサイトを機能的にデザイン性を高めてコーディングを行う |
イラストレーター | 雑誌などの紙媒体WEB、ソーシャルゲームなどで使われるイラストを描く |
グラフィックデザイナー | 雑誌の表紙や書籍の装丁、商品のパッケージ、ポスター、看板など、広告や宣伝に関するデザインを行う |
ゲームデザイナー | ゲームの基本設計をする |
ロゴデザイナー | 企業のイメージを大きく決定づけるデザイン・制作を行う |
モーショングラフィックスデザイナー | ロゴやイラスト、テキストや図形、静止画に動きや音を加える |
フリーランスデザイナーは、家具や照明などのデザインをおこなうインテリアデザイナーや、衣服やアクセサリーのデザインをおこなうファッションデザイナーなどさまざまなジャンルで幅広く活動することができます。
フリーランスデザイナーの平均年収
フリーランスデザイナーの職種別の年収相場は下記のとおりです。
- グラフィックデザイナー|300万〜500万程度
- WEBデザイナー|300万~600万円程度
- UI/UXデザイナー|480万~840万円程度
職種によって相場が異なること、どのジャンルの案件が高額傾向にあるのか参考にしておいてください。
グラフィックデザイナー|相場5,000円〜
グラフィックデザイナーであれば、下記のジャンルが多いです。
- 取扱説明書
- 楽天やアマゾンの商品画像
- 商品パッケージ
- バナー
IllustratorやPhotoshopを用いたデザイン経験がマストになることも多いのですが、案件数は多いので数をこなすことで高収入が見込めます。
WEBデザイナー|相場30,000円〜
WEBデザイナーは、新たにHPを開設するWEBサイトのデザインから、既存のWEBサイトのリニューアル案件が多い傾向にあります。
他にも、WEBサイトだけでなく下記のような案件もあります。
- LINEで送るデザイン画像(リッチメッセージ)の作成
- SNS投稿用の画像の作成
- WordPressを使用したWebサイトのデザイン制作・構築・改修
デザインツールやAdobe Illustrator、Photoshopが使える方はWEBデザイナーの案件もおすすめです。
UI/UXデザイナー|相場100,000円〜
UI/UXデザイナーは、相場が最も高い案件になります。
そのため、ミーティングの段階で高いコミュニケーション能力が必要です。
案件の内容は多岐に渡ります。
- アプリの開発
- Webサイトの新規制作やリニューアルのデザイン提案
- デザインコンセプト・トーン&マナー策定
- ページ・UI・コンポーネントのデザイン
- Webサイト、Webシステムのデザイン改修
UI/UXデザインスキルはもちろん、多くのスキルが案件獲得につながるジャンルです。
UI/UXデザイナーに有利になるスキル
- Webサイト (PC・スマートフォン) のデザイン実務経験
- アートディレクション経験
- アプリUI デザイン経験
- デザインコンセプト策定やトーン&マナー開発
- 作成したデザインの意図や情報の言語化
- HTML / CSSの仕様理解
- Adobe XD / Photoshop / Illustratorの操作
- PHP
- Laravel(同上)
フリーランスデザイナーになるメリット
フリーランスデザイナーになるメリットは下記です。
- 年収アップの可能性がある
- 人間関係のストレスから解消される
- 自由な環境を手に入れられる
- 経験の幅が広がる
フリーランスデザイナーになることで得られるものは自由だけではありません。それぞれ解説します。
年収アップの可能性がある
フリーランスデザイナーは自由に仕事を選ぶことができ、高額の案件を多数こなすことができたら、今よりも年収を上げることができます。
また、クライアントから評価を得ることができると継続して仕事をもらうことも可能で安定した収入を確保することができるようになります。
人間関係のストレスから解消される
フリーランスデザイナーは会社に出社する必要がないので、人との付き合いも自由です。
顔を合わせたくなくても仕事だからと我慢していたストレスから開放されます。上司の顔色を気にする必要もありません。好きな空間で仕事ができるので余計な気遣いは必要がなくなります。
自由な環境を手に入れられる
フリーランスデザイナーは働く場所も時間も、仕事内容も全て自由です。
お昼休憩という決められた時間に休憩をとる必要もなく、案件は自分で探すので与えられた仕事をこなすこともありません。プライベートの時間も自由にとることができるので好きな時にランチもできます。友人・知人との時間も確保しやすくなります。会社に拘束される環境から自由を手に入れることができるので仕事へ前向きに取り組むことができるようになります。
経験の幅が広がる
フリーランスデザイナーは自分次第でどんどん経験を積むことができます。
会社員として働いていると、会社の意向に合わせないといけません。一方、フリーランスデザイナーならクライアントと認識をすり合わせたら自由に作品を作ることができます。本当に納得のいく作品を仕上げることができるようになるので満足感、幸福感も得られます。向上心も高まるので経験の幅がどんどん広がっていきます。
フリーランスデザイナーになるデメリット
フリーランスデザイナーには、下記のデメリットがあります。
- 収入が変動する(不安定)
- 福利厚生がない
- 自分で営業しないといけない
- フリーランスデザイナーは将来への懸念点がある
フリーランスデザイナーとして安定した収入を得るためにも、デメリットをしっかり理解しておきましょう。
収入は変動する(不安定)
フリーランスデザイナーは、常に仕事があるわけではありません。
会社員のように月給制ではないので、案件を獲得しないとお金は入ってきません。また案件によって報酬額は異なります。大きな案件をこなすことができたら良いのですが、少額の案件が続くと生活に余裕がなくなります。新しいツールやアイテムが必要でも購入できないと案件獲得にも影響するので、上手に案件を獲得する方法を身につけておきましょう。
福利厚生がない
フリーランスデザイナーは、基本的に保険料や年金の支払いは自身でおこないます。
会社勤めをしていると、保険料や年金は給料から天引きされます。また会社と雇用者で折半する企業が多いです。そこでこれまで以上に負担が大きくなってしまうのですが、フリーランス向けの福利厚生サービスを利用しましょう。
自分で営業しないといけない
フリーランスデザイナーは自分で営業しない限り、仕事は入ってきません。
出社したら作業がある会社員とは異なり、仕事を始めるためにまず仕事探しをおこないます。なかなか仕事が見つからない状況は不安でいっぱいになります。不安が大きくなるとストレスに変わります。自由な環境があっても、仕事がないとストレスに変わることもあるのでフリーランスデザイナーとしての営業法も身につけておきましょう。
フリーランスデザイナーの将来への懸念点
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フリーランスデザイナーには「無料ツール」「企業のサイト制作への意向変化」「AIの存在」など将来への懸念点があります。
冒頭で、フリーランスデザイナーは将来性があると伝えましたが、将来への懸念点が考えられているのも現実です。では、どのような懸念点があるのか、どのくらい影響するのか解説します。
無料デザインツール
まず一つ目の懸念点は「無料デザインツール」です。近年、簡単にデザインできる無料ツールが増えています。例えば、Wixやペライチです。無料デザインツールを利用してWEBサイトを作っている人も多いのですが、できることには限界があります。また、どうしても類似した作品になります。ですので、無料ツールの普及はデザインの知識や有料ツールを使えるスキルがあれば気にする必要はないでしょう
企業のサイト制作への意向変化
二つ目の懸念点は「企業のサイト制作への意向変化」です。最近ではWEBサイトを持たない企業が増えています。WEBサイトを持たない理由は企業によって異なると思いますが、大半はコスト削減です。WEBサイトの作成費用や維持費は決して安価ではありません。またSNSが普及したこともあり、SNSを活用する企業が増えているのもWEBサイトを作らない理由になります。しかし、フリーランスデザイナーはWEBサイトのデザインだけが仕事ではありません。
例えばSNSのコンテンツのデザインや広告バナーは、今マーケティングを行うために欠かせなくなっています。グラフィックデザインの需要が減ることはありません。結果、企業のサイト制作への意向変化も特に気にすることはないと言えます。
生成AIの存在
最後に、三つ目の懸念点が「生成AIの存在」です。フリーランスデザイナーは生成AIによって仕事を奪われると考えられています。確かにAIの進化はフリーランスデザイナーにとっては将来を左右するかもしれません。
しかし、こうした懸念点はデザイナーのスキルで変わります。指示の中で仕上げるAIと独創性のあるデザイナーでは後者に高い評価が付けられるでしょう。
また、AIを使うのではなく、効率化やさらなるアイデア出しのためにAIを活用できるデザイナーの需要が高まっています。
フリーランスデザイナーの具体的ステップ
フリーランスデザイナーは本業として始めるか、副業から始めるかステップが2種類あります。
本業としてフリーランスデザイナーになる場合も、まずは会社で経験を積む必要があります。フリーランスデザイナーとして独立する前に必要な経験、知識を会社で積みます。また、人脈を作るためにも会社で働くことは重要です。
いきなり独立するのは不安という場合は、副業として始めます。会社員として働きながらフリーランスデザイナーとして活動するのは容易ではありませんが、クライアントとのやり取りや報酬額、案件獲得までの流れがどのように進むのか理解することができます。また独立までの目標額も設定することができるので、安全にフリーランスデザイナーへ転身することができます。
フリーランスデザイナーの案件獲得方法
フリーランスデザイナーは上手に案件を獲得しないと、安定した報酬は得られません。
フリーランスデザイナーのデメリットにもなる「収入の変動」や「自分での営業」によるリスクを減らすためにも紹介する案件獲得法を参考にしてください。
知人や友人に紹介してもらう
フリーランスデザイナーは人脈が大事です。
前職の知り合いや、知人からの紹介で仕事を獲得することができます。もちろんあなたの人柄も紹介に影響するので今から周りとの付き合い方を大切にしておきましょう。
企業に自ら営業する
企業に直接、ポートフォリオを提出して声をかける方法も有効です。
企業はコスト削減のために、自社のWEBサイトのデザイナーを募集することが多いです。また、自社の社員にデザイナー探しの声かけをすることもあります。気になる企業はデザイナーを募集していないかWEBサイトを確認してみたり、もし勤めている知り合いがいたら声をかけてみると良いでしょう。
SNSを活用する
フリーランスデザイナーとして自身のSNSを活用して、アピールしましょう。
この方法は、クライアントを探すのではなく逆にクライアントからの声かけチャンスが期待できます。自身の作品を多くの人に届けることで、多くのチャンスを手にすることができます。SNSは積極的に活用してください。
フリーランス向けサービスに登録する
フリーランスデザイナー向けの案件獲得サービスには、クラウドソーシングやエージェントの利用があります。とくに下記のサービスがおすすめです。
SOKUDAN(ソクダン) | 業務委託のプロ人材と企業を結びつけるマッチングサービスレベルの高い案件が多い |
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ViViViT(ビビビット) | ポートフォリオを登録すると作品を見た企業からオファーが届く |
レバテッククリエイター | WEB・ゲーム業界に特化している高単価案件が多い |
クラウドワークス | 企業と個人がオンラインで直接やり取りをする国内最大級の案件数とジャンル |
ランサーズ | どちらもフリーランスのマッチングサービススキルレベルの幅が広い |
フリーランスデザイナーになった後のスキルアップ
フリーランスデザイナーが、スキルアップするために最低限必要なことは2つです。
- ディレクション能力を高める
- 付加価値をつける
ディレクション能力を高める
フリーランスデザイナーとして自身の作品の価値は、クライアントの評価で変わります。価値があると評価されると継続案件につながり、着実にスキルを上げることができます。
そのためにはクライアントの意図をしっかりくみとり形にするディレクション能力が必要です。市場を分析する力や解析ノウハウ、数字を意識できるようになるとフリーランスデザイナーとして強力な強みとなります。
また、ディレクションのようなデザインの上流工程から関わるスキルは、単価アップに繋がります。
付加価値をつける
そして、フリーランスデザイナーとしてスキルアップするためには「付加価値」をつけましょう。デザインスキルを日々磨くことを考えましょう。
わかりやすい価値のひとつにソフトウェアスキルがあります。Photoshop、Illustrator、InDesignなどのツールを習得しておくと仕事の幅が広がりスキルアップを図れます。
まとめ
![](https://freelance-style.biz/wp-content/uploads/2024/04/pixta_97206912_M-1024x682.jpg)
フリーランスデザイナーの需要は、今後も増加傾向にあります。会社員からフリーランスデザイナーへの転身は前向きに考えて良いでしょう。ただし、フリーランスデザイナーにもリスクがあります。
デザイン以外の付加価値があり、高いコミュニケーション能力をもち、安定性より変化を求められる人は収入が変動しやすいフリーランスデザイナーでも、しっかり案件を獲得しスキルアップが期待できます。フリーランスデザイナーの取り巻く環境の変化に柔軟に対応し、「個」の能力を高めていきましょう。