これからフリーランスとして独立するという方の中には、「経費の支払い専用のクレジットカードを作っておいた方がいいのでは?」と不安を抱えている方も多いのではないでしょうか?
フリーランスの独立前と独立後では、審査に通りやすいカードの種類が異なるので注意が必要です。
独立前に作るなら個人向けクレジットカード、独立後に作るならビジネスカードの方が作りやすくなります。
この記事ではフリーランスのクレジットカードの選び方や、フリーランスにおすすめのビジネスカードを紹介していきます。
クレジットカード選びに迷っているフリーランスの方は、ぜひご覧ください。
この記事でわかること
- フリーランスがクレジットカードを作るべき理由
- ビジネスカードと個人カードの5つの違い
- ビジネスカードの注意点
- フリーランスのビジネスカード選びの5つのポイント
- フリーランスにおすすめのクレジットカード5選
フリーランスがクレジットカードを作るべき理由
フリーランスとして独立したら、専用のクレジットカードを作成した方がよいでしょう。
ただし、経費を支払うカードは個人向けのクレジットカードでも特段問題はありません。
クレジットカードを作るメリットとして、主に次の理由があります。
- 生活費と事業の経費を分けて把握できる
- 普段の会計処理を効率化できる
フリーランス事業の支出と家計を分けて把握できる
フリーランスになったら、事業の支出と家計の支出を分けて把握しなければなりません。
フリーランスは事業所得の申告が必要になり、その際には事業に使用した支出だけを経費計上できるためです。
この際、家計用と事業で同じクレジットカードを使用していたら会計処理が面倒ですが、カードを分けておけばカードの利用明細から簡単に会計処理ができます。
家計と事業の支出で同じカードを使用しても、適切に会計処理をすれば問題ありません。
しかし、会計処理を簡素化するためにも、事業の経費をいくら使っているのかを簡単に把握するためにも、経費専用のカードを作成しておいた方が便利です。
普段の会計処理を効率化できる
会計ソフトにはクレジットカードの利用明細を連携できるものが多数あります。
事業専用のクレジットカードを作成しておけば、カードの利用明細が自動的に会計ソフトへ反映され、適切に会計処理をおこなうことが可能です。
しかし個人用と事業用で同じクレジットカードを使用した場合には、会計ソフトに個人用の支出まで会計ソフトへ反映されてしまうことになります。
事業専用のクレジットカードを作成することで、会計ソフトと連携されるのは経費のみですので、普段の会計処理が効率化します。
フリーランスがカードを作るなら独立前?独立後?
フリーランスの方がクレジットカードを作成するのであれば、独立前と独立後、どちらのタイミングで作成するべきでしょうか?
個人向けのクレジットカードを作成するのであれば独立前がおすすめです。
また、独立後に個人用のクレジットカードを作成するのであれば、事業が安定した状態で申し込むのがよいでしょう。
それぞれのタイミングでの審査のポイントを解説していきます。
個人用のカードを作るなら独立前がおすすめ
個人用のクレジットカードをフリーランスの経費専用のカードにするのであれば、独立前の会社員のうちに作っておくのがよいでしょう。
個人用のクレジットカードの審査では勤続年数が重視されますが、独立してしまうと勤続年数がリセットされてしまうためです。
独立前であれば会社員として一定の勤続年数がある状態で審査を受けられるので、独立後よりも審査では有利になります。
独立後に個人用カードの審査に通るには
独立後に個人用のクレジットカードの審査に通るには以下のような条件を具備することで審査にとおりやすくなります。
- 開業から半年以上経過
- 事業用の固定電話を持つ
- 事業のホームページを作成する
開業から半年程度経過し、事業がある程度落ち着いてくることで「収入が安定している」と判断されやすくなります。
また「確かに事業を営んでいる」と判断されるよう、事業専用の固定電話やホームページを持っておいた方が審査で有利になるでしょう。
独立後に作るならビジネスカードと個人カードどっち?5つの違いを解説
独立後にクレジットカードを作るのであれば、ビジネスカードと個人カード、どちらも作成できます。
そのため、ビジネスカードと個人カードの違いを理解することが重要です。
次の項目で違いがあります。
- 審査のポイント
- 利用限度額
- 引き落とし講座
- 年会費の経費計上
- 付帯サービス
主な違いはまとめると、以下のようになります。
ビジネスカード | 個人カード | |
---|---|---|
審査のポイント | 会社の決算状況代表者の信用情報 | 個人の信用 |
利用限度額 | 高め | 低め |
引き落とし口座 | 法人口座フリーランスの屋号口座 | 個人口座 |
年会費の経費計上 | 全額 | 一部(按分の必要あり) |
付帯サービス | 法人向け、従業員向け | 個人向け家族向け |
審査のポイント
ビジネスカードでは会社や事業の決算状況や代表者の信用情報が確認されます。
開業間もないフリーランス専用のカードでは会社の信用は確認できないため、代表者の個人信用情報に問題さえなければ審査に通過できるカードも少なくありません。
一方、個人向けのカードで確認されるのは、個人の信用のみです。個人信用情報、年収、勤務先、勤続年数などから総合的に判断して審査の可否を決定します。そのため個人向けのクレジットカードは独立後では審査に通過しにくくなります。
独立後にクレジットカードを作成したいのであれば、ビジネスカードの方がよいでしょう。
利用限度額
利用限度額はビジネスカードの方が高めです。
一般の個人向けカードは限度額100万円程度というものが多いですが、ビジネスカードは一般カードでも100万円を超えるものも多々あります。
経費の金額が多いのであれば、ビジネスカードを選んだ方がよいでしょう。
引き落とし口座
ビジネスカードの引き落とし口座は法人名義の口座か、フリーランスであれば個人口座か屋号名の口座になります。
一方、個人カードは個人名義の銀行口座のみです。
契約者名義の口座でないと引き落とし口座として設定できないのが基本ですので、フリーランスの方が屋号名の銀行口座から引き落としをしたいのであれば、ビジネスカードを選択してください。
年会費の経費計上
ビジネスカードの年会費は全額経費に計上できます。
個人カードも事業だけに使用しているクレジットカードであれば、年会費を全額経費に計上しても問題ありません。
しかし家計と事業の双方に利用しているのであれば、事業に使用している割合と生活費に使用している割合に年会費を按分して経費計上する必要があります。
付帯サービス
ビジネスカードの付帯サービスは会社や従業員向けに、福利厚生施設の優待などの会社向けのものが多くなっています。
個人向けのカードの付帯サービスは、旅行傷害保険やレストランやホテルの優待など家族向けお出かけ向けのものが一般的です。
従業員が多いのであればビジネスカードの付帯サービスの方が向いていますし、家族経営や1人で事業をしているのであれば個人向けの方がメリットがあることもあります。
ビジネスカードの注意点
ビジネスカードは、開業間もないフリーランスや個人事業主でも審査に通りやすく、ビジネスに役立つ特典が豊富というメリットがありますが、次の点には注意が必要です。
- 支払いは一括払いが原則
- 個人カードよりも年会費は高め
ビジネスカードの2つの注意点について詳しく解説していきます。
支払いは一括払いが原則
ビジネスカードの支払方法は一括払いのみと決められているのが一般的です。
個人向けカードでは分割払い、リボ払い、ボーナス一括払いなどの多くの支払方法を選択できます。
分割やリボ払いなどの支払方法を利用したい方は、個人向けカードを選択した方がよいでしょう。
個人カードよりも年会費は高め
ビジネスカードは個人カードと比較して年会費は高めです。
個人カードであれば年会費無料というカードは多いですが、ビジネスカードは年会費優良となっているカードが多数です。
ビジネスカード年会費は全額経費にでき、年会費を上回る付帯サービスを受けられるため、それほど年会費を気にする必要はないかもしれません。
しかし年会費をできる限り負担したくない方にはビジネスカードは不向きです。
フリーランスのビジネスカード選びの5つのポイント
フリーランスの方がビジネスカードを選ぶのであれば、以下の5つの点を比較して最適なカードを選択してください。
- 年会費
- 限度額
- 付帯保険
- 付帯サービス
- 審査基準
カード選びのポイントを理解して、最適なクレジットカードへ申し込めるようになりましょう。
年会費
カード保有にかかるコストを管理するためにも年会費でカードを比較することは重要です。
ビジネスカードは年間一定金額以上を利用すると年会費が無料になるというものも多いので、「1年間でいくらカードを利用するのか」などの観点から適切なクレジットカードを選びましょう。
また年会費と高さと付帯サービスの充実度は比例します。負担する年会費と付帯サービスのバランスが取れているのかも慎重に検討してください。
限度額
クレジットカードの限度額が1ヶ月あたりの経費に収まるかも重要なポイントです。
例えば1ヶ月150万円の経費を利用する事業者が、限度額100万円のクレジットカードを契約した場合には、当該カードだけでは1ヶ月分の経費を支払えません。
反対に限度額が多すぎても年会費が高くなるだけですので、クレジットカードの限度額は1ヶ月の経費よりも少し多い程度がよいでしょう。
付帯保険
クレジットカードに付帯されている保険で必要な補償を得られるかも重要なポイントです。
クレジットカードには以下のような保険が付帯されているのが一般的です。
- ショッピング保険
- 国内旅行傷害保険
- 海外旅行傷害保険
これらの保険が仕事のニーズを満たしているかも検討しましょう。
例えば、海外出張が多い仕事なのに、国内旅行傷害保険しか付帯されていないのであれば、そのカードは必要な補償を満たしていません。
仕事の内容とマッチしている保険が付帯されているクレジットカードを選択してください。
付帯サービス
クレジットカードの付帯サービスやポイント還元率も重要な比較ポイントです。
ビジネスカードには以下のような付帯サービスがあります。
- ポイント・マイレージ付与
- 福利厚生施設の優待利用
- 空港ラウンジの利用
- ビジネスデスク
- ETCカード
- 会計ソフトとの連携
一般的にはサービスが充実しているほど年会費が高くなり、審査難易度も高くなります。
自社が必要な付帯サービスが具備されており、不要なサービスがついていないカードを選択しましょう。
審査基準
ビジネスカードには、事業者の決算内容を審査するものと、しないものがあります。
具体的には、申し込みの際に決算書や確定申告書の提出が必要ないクレジットカードは、基本的に代表者の個人信用情報をメインに審査しています。
一方、確定申告書や決算書の提出が必要になるものは、事業の業況が悪いと審査に通らないことがあります。
開業間もないフリーランスは事業の実績が何もないので、決算書や確定申告書の提出ができません。
そのため、決算書や確定申告書の提出が不要なビジネスカードへの申し込みをおこないましょう。
フリーランスにおすすめのクレジットカード5選
フリーランスは個人カードの審査には通りにくく、ステータスの高いビジネスカードにも通りにくい属性です。
以下の5つのカードであれば、フリーランスの方でも審査に通過できる可能性があるでしょう。
- 三井住友ビジネスカード for Owners クラシックカード
- freee VISAカード
- セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
- オリコEX Gold for Biz S
- 楽天ビジネスカード
フリーランスにおすすめの5つのクレジットカードのスペックや特徴について詳しく解説していきます。
三井住友ビジネスカード for Owners クラシックカード
限度額 | 10~150万円 |
---|---|
利用者 | 法人代表者・個人事業主 |
年会費 | 初年度無料、2年目以降1,375円(税込) |
追加カード年会費 | 初年度無料、2年目以降440円(税込) |
ETCカード年会費 | 無料(前年度利用がない場合翌年550円) |
国際ブランド | VISA,Mastercard |
付帯保険 | 海外旅行傷害保険:2,000万円ショッピング保険:100万円 |
ポイント還元率 | 0.5% |
三井住友ビジネスカード for Ownersは三井住友カードのスモールビジネスオーナー専用のクレジットカードです。
初年度年会費無料で、翌年以降も1,375円という安価な手数料でありながら、海外旅行傷害保険が2,000万円付与されています。
なお、加入後には海外旅行傷害保険を以下の保険へ切り替えることができます。
- ゴルフ安心プラン(ゴルファー保険)
- 弁護士安心プラン(弁護士保険)
- スマホ安心プラン(動産総合保険)
- 日常生活安心プラン(個人賠償責任保険)
- ケガ安心プラン(入院保険(交通事故限定)
- 持ち物安心プラン(携行品損害保険)
この他にも、国内外数1,000ヵ所の契約宿泊施設やスポーツクラブ、人間ドックや英会話学校などを割引料金で利用できる福利厚生代行サービスも利用できるので、低コストで付帯サービスが充実したカードを希望する方にはおすすめです。
freee VISAカード
限度額 | 50~150万円 |
---|---|
利用者 | 法人代表者・個人事業主 |
年会費 | 初年度無料、2年目以降1,375円(税込)(「WEB明細書登録」で825円)(2年目以降も「WEB明細書登録」を利用し、「前年度50万(税込)以上利用」または「マイ·ペイすリボ設定+利用」で年会費無料) |
追加カード年会費 | 無料 |
ETCカード年会費 | 無料 |
国際ブランド | VISA |
付帯保険 | – |
ポイント還元率 | – |
初年度年会費無料で、2年目以降も所定の条件を満たせば年会費が無料になるカードです。
ETCカードの年会費もかからないので、年会費負担のないビジネスカードを利用する方にはおすすめです。
会計ソフトで有名なfreeeが発行するカードですので、freeeとの連携がスムーズです。
ただし、付帯サービスや付帯保険はついていません。
単純に経費の支払いと会計処理をシンプルに行いたい方は、 freee VISAカードへの申し込みを検討するとよいでしょう。
セゾンコバルト・ビジネス・アメリカン・エキスプレスカード
限度額 | 個別 |
---|---|
利用者 | 法人代表者・個人事業主 |
年会費 | 無料 |
追加カード年会費 | 無料 |
ETCカード年会費 | 無料 |
国際ブランド | アメリカン・エキスプレス |
付帯保険 | なし |
ポイント還元率 | 0.5% |
ハイステータスのアメックスのカードが年会費無料で保有できるクレジットカードです。
本会員の年会費だけでなく追加カードの年会費も無料です。
限度額は経費の利用状況などに応じて個別に設定できるので、事業規模の大きな会社は大きな限度額を設定できます。
最大の特徴は支払いサイトを最大で56日に設定できる点です。
カードを使用してから支払いまでの日数が長いので、資金繰りの改善にも寄与できます。
最短3日でカード発行ができるので、急いでカードを必要としている方にも向いています。
オリコEX Gold for Biz S
限度額 | 300万円 |
---|---|
利用者 | 個人事業主 |
年会費 | 初年度無料2年目以降2,200円(税込) |
追加カード年会費 | 無料 |
ETCカード年会費 | 無料 |
国際ブランド | VISA・Mastercard |
付帯保険 | 海外旅行傷害保険:2,000万円国内旅行傷害保険:1,000万円ショッピング保険:100万円 |
ポイント還元率 | 0.5% |
初年度年会費無料、2年目以降2,200円の非常に低い年会費で保有できるゴールドカードです。
ゴールドカードですので、国内・海外旅行傷害保険とショッピング保険が付帯されており、保険が非常に充実しています。
また、MastercardビジネスアシストまたはVisaビジネスオファーが付帯されているので、福利厚生プログラムや経理システムなどの優待を受けることが可能です。
独立したばかりのフリーランスでも十分に審査に通過できる可能性のあるカードですので
ステータスを重視するフリーランスの方は、利用を検討するとよいでしょう。
楽天ビジネスカード
限度額 | 300万円 |
---|---|
利用者 | 法人代表者・個人事業主 |
年会費 | 楽天プレミアムカードの年会費:11,000円(税込)楽天ビジネスカードの年会費:2,200円(税込) |
追加カード年会費 | 2,200円(税込) |
ETCカード年会費 | 1枚目無料2枚目550円(税込) |
国際ブランド | VISA、Mastercard、JCB、アメリカン・エキスプレス |
付帯保険 | 国内・海外旅行傷害保険:5,000万円ショッピング保険:300万円 |
ポイント還元率 | 1.0% |
楽天プレミアムカードの付帯カードとして発行されるビジネスカードです。
個人名で楽天プレミアムカードを契約し、付帯カードとしてビジネスカードを保有することで、プライベートとビジネスのカードを使い分けることが可能です。
補償が非常に充実しており、2,200円の年会費で国内・海外旅行傷害保険5,000万円とショッピング保険300万円が付帯されるのはメリットだと言えます。
Visaビジネスオファーも付帯されるので、ビジネスに役立つさまざまなツールを優待料金で利用できます。
楽天ポイントも溜まりやすいので、普段から楽天市場での仕入れなどをおこなう方は申し込みを検討するとよいでしょう。
フリーランスは独立前と独立後で適切なクレジットカードへ申し込もう
フリーランスとして使用する経費は生活費とは異なるので、フリーランスとして独立するのであれば、専用のクレジットカードを作成した方が便利です。
独立前であれば個人向けのカードへ申し込んだ方が審査に通過しやすいですし、独立後であれば開業間もなくでも作成できるビジネスカードがおすすめです。
カードによって特徴がかなり異なるので、フリーランスとしての事業規模や事業の種類などによって最適なクレジットカードを選択してください。
※この記事の情報は2024年1月時点のものです。最新の情報は公式HPをご確認ください。